入ってらっしゃい!風呂屋が令和の暮らしにもたらす効能。
(福島区) 建築好きや海外観光客を魅了する、五感で楽しむ建築美
JR福島駅そばの小さな飲食店が軒を連ねる通りに、突如現れる風呂屋がある。それが『延命湯』だ。元々長屋が密集した路地の一角にある木造の風呂屋だったが、1983年に建て替えを行なった。設計は多くの住宅を手掛ける建築家の竹原義二さん。「この風呂屋が長く生き残っていくために、機能よりも空間の付加価値に重きを置きました。空間は、潜水艦をイメージしました。浴槽から天井を見上げると、天窓まで筒状に高く登っていき、空に向かって廻旋しています。海に深く潜るような感覚で、空間に浸り、心身ともにリラックスできる場となってほしい。身体を洗った後も、長く湯に浸かりたくなる、そのまま風呂で人と交流したくなる場になるよう考えました」と竹原さんは当時を振り返り話す。
建築好きやガイドブックを手にした旅行客が訪れることも多い。スケッチブックを持参して、デッサンをしている学生もいるのだとか。空間として面白いものにしたいという、建築家と風呂屋のチャレンジがなし得た建築美をご堪能あれ。
飲み屋街の真ん中にある個性派建築なお風呂屋さん