繁栄した大大阪時代の建物
1925年、大阪市は周辺地域を合併して人口はニューヨークやパリに次ぐ世界6位の大都市になった。大阪が近代都市に生まれ変わり、「大大阪時代」が始まる。大阪の都市建設を担うため、建築や土木の技術者を養成したのが関西工学専修学校(現在の学校法人常翔学園)である。
同校の創設者の一人である片岡安は、關一市長の片腕として大阪の都市計画を立案した。その業績は「常翔歴史館」で顕彰されている。同館と今昔館が共催した企画展「大大阪モダニズム」は、建築家・片岡安の仕事に光をあてたものだ。この展覧会では「大大阪」を彩った建築や土木構築物に関する建築図面や絵画が展示された。
【 企画展のお知らせ】
花園を彩った「協心」と「戮力(りくりょく)」〜学園2高校のラグビー史〜
期間:2020年12月7日(月)〜2021年1月29日(金)
大大阪の建設に大きな役割を果たした土木建築業の一つが、大阪生まれのゼネコン・大林組である。「大林組歴史館」は1926年竣工のルポンドシエルビル(大林組旧本店ビル)の3階にある。地下鉄、大阪城天守閣などの建設当時の写真展示があり、大阪の土木建築業界の高い技術力がうかがえる。
商都大阪を華やかにデザインした建築家の一人が、ウィリアム・メレル・ヴォーリズである。彼は関西を中心に1500余りの建物を設計し、大阪でも大丸心斎橋本店や大同生命旧肥後橋本社などの作品がある。「大同生命メモリアルホール」は、ヴォーリズが設計した旧館の意匠を現代建築に溶け込ませ、新たな魅力を放っている。「大坂では鴻池と並び称される豪商であった加島屋と大坂蔵屋敷との関係を示す展示資料は貴重です。それだけでなく建築空間の迫力も体感できま」(谷)。