館長と歩く、魅力的なミュージアム
今につながるまちづくりの精神
自分たちが生活する場所を、自らの手で豊かにするまちづくり活動も、今昔館のテーマ。大阪市内でもユニークな活動として全国に知られているのが、平野のまちづくりである。中世末から「環濠自治都市」として栄えた平野郷は、武士の支配を受けず、町衆の自治のもとで繁栄した。26年間続いている「平野町ぐるみ博物館」は、有志で行われ、区内の15施設が無料で開放されている。大阪市も1999年から、大阪市HOPEゾーン事業で平野のまちづくりを応援し、今昔館の企画展「HOPE展住吉・平野郷・田辺」につながった。
平野の守護神である杭全神社「鎮守の森博物館」は、環濠に囲まれた平野郷の北端に位置している。境内の連歌所は、町人による連歌会が開かれた、平野郷の文化を象徴する建物である。夏祭りは、300年近い歴史がある「だんじり曳行」でも知られている。「平野のだんじり祭りは、町人の祭りとして人と人をつないできた歴史があります。その伝統が現在のまちづくり活動につながっています」(谷)。
融通念佛宗の総本山・大念佛寺では、8月の第4日曜だけ「幽霊博物館」が開館する。展示品は、地獄に落ち苦しむ女性が極楽往生のための供養を願い巡礼者に手渡した「亡女の片袖」と「香合」、そして12幅の幽霊図。本堂は大阪最大の木造建造物である。
その他平野には、「平野郷・町家ゾーン」、「パズル茶屋」、「歴史のまちなみ模型」など小さいけれど魅力的な博物館がある。