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大阪市 住まいのガイドブック あんじゅ

住まいの防災「風水害に備える」

自然災害から家族や住まいを守る

毎年のように各地で起こる風水害。大阪では2018年9月、台風21号が甚大な被害をもたらしました。
将来は強い台風が大阪にやってくる可能性が増すという予測もあります。災害発生のメカニズムを知り、起こりうる被害をイメージすることで住まいや地域に必要な備えを考えましょう。

教えてくれたのは

大阪公立大学 都市科学・防災研究センター兼任研究員、
大阪公立大学大学院工学研究科准教授

中條 壮大(ななかじょうそうた)先生 

 

 

災害の特徴や被害想定を知る

 災害の備えとして重要なことの一つに、災害に対する知識を得ておくことがあります。例えば、台風がどのような災害を、どのようなメカニズムで引き起こすのかについて知ることです。被害を想定して住まいを守る対策を考えたり、早めの避難をしたり、災害に備えることにつながります。

 

 大阪は全国的にみても高潮のリスクが高い地域です。2018年の台風21号でも高潮や強風による被害がありました。高潮は主に1.台風の低い気圧により海面が吸い上げられること、2.暴風により海水が岸へ吹き寄せることで発生します。また、風は台風の中心から30〜100km離れた地点や、進路の東側でより強くなります(図1)。

図1 台風の危険半円

 

 地域の災害リスクを知るためにハザードマップを活用しましょう。2020年には大阪港湾局が大阪市の高潮ハザードマップを公開しました。想定しうる最大規模の高潮が発生すると、上町台地より西側の大半と大阪城の北東側に深刻な被害が出る可能性が示されています。この他、洪水・内水氾濫・津波のハザードマップが公開されています。不動産取引においては、2020年に水害ハザードマップの提示が義務化されました。

 

気象情報を入手し備える

 台風が発生すると気象庁のウェブサイトなどで、大きさや強さ、進路予測、暴風域に入る確率などの情報が提供されます。前触れなく起こる地震とは異なり、台風は発生後から近づくまでに時間があり、状況を確認しながら被害に備えることができます。

  • 台風が近づいたら ➡ 気象情報、避難・交通情報をこまめに確認する。備蓄の確認。
  • 暴風域に入る直前 ➡ 窓ガラス等の保護。外にあるものが飛ばないようにする。早めの避難。
  • 暴風域にいる間  ➡ 屋外に出ない。窓から離れる。

 

 気象情報については、風の強さ、雨の強さによってどんな影響が出るのかを知っておくと安心です。台風や近年増加している線状降水帯など豪雨のパターンにも色々ありますが、気象予測には不確実性もあります。お住まいの地域だけでなく,隣接する市域など周辺まで含めて予測値を参考にしながら、最悪の被害を想定した行動を選択できるようにしましょう。

 

雨の強さと降り方(気象庁)

 100年に1度、1000年に1度の災害が起こると聞いても、人間の一生よりも長い周期で起こる災害のことは想定しづらいかもしれません。
しかし、100年に1度の台風が50年の間に訪れる確率は約40%と決して低くはありません。火災で焼失するリスクよりも高いのです。
加えて、気候変動の影響で大災害の発生頻度は高まる可能性もあります。
過去の災害から学ぶとともに、自分たちの経験を越える災害が起こることも想定して対策を講じること、今後の気候変動予測結果の動向に注意を払うことが重要です。