木造住宅の耐震化
住まいの防災
自然災害に強い住まいをつくる
「木造住宅の耐震化」
1995年に発生した阪神・淡路大震災では建物の倒壊や損壊、家具の転倒により多くの命が奪われました。南海トラフ地震をはじめとした大規模な地震の近い将来の発生の切迫性も指摘されています。地震が起きても命を守るためには、建物の耐震性を高め、家具等は固定することが重要です。
教えてくれたのは
公益社団法人大阪府建築士会耐震インスペクション委員会
一級建築士/木造住宅耐震診断・改修講習会終了者
すぐにできる安全対策
地震が起きた時、まず初めにすることは身体の安全確保です。ガスを止めたり、ブレーカを落としたりは、揺れが収まってから行います。大阪北部地震で記録した最大震度は6弱でした。この規模の揺れでは立っていることが困難で、窓ガラスが割れたり、家具が倒れたり、耐震性能の低い木造建物が傾く危険性があります。過去の地震から学び、住まいの安全性を高めておくことが大切です。
住まいの中で、すぐにできる安全対策がたくさんあります。家具の転倒防止などにより、身体を守り、避難経路を確保することができます。具体的には、たんすや本棚などの大きな家具は、金具や突っ張り棒を使って固定します。キャスター付きの家具、テレビや照明器具などにも対策が必要です。ストッパー、粘着シート、チェーンなどを用いて転落や落下、移動を防ぎましょう。就寝する場所の周りに大きな家具などがある場合は、倒れても当たらないような向きや配置に注意が必要です。
耐震診断で建物の強さを知る
耐震診断とは、既存の建築物で旧耐震基準で設計され耐震性能を保有していない建物を、現行の構造基準(新耐震基準)で耐震性の有無を確認することです。専門知識を持つ建築士が非破壊で目視にて基礎、屋根、壁や柱の数や位置などを調査し、建物の強さを診断します。
建築基準法で定められた耐震性能を基準に、診断結果から必要な補強内容を検討します。耐震診断や耐震補強工事には費用がかかりますが、大阪市では補助制度がありますので活用ください。住まい情報センターにある補助受付窓口に加え、公益社団法人大阪府建築士会でも相談を受け付けています。
- 民間戸建住宅等の耐震診断・改修等補助制度(受付窓口:06-6882-7053)
- 公益社団法人大阪府建築士会(専用電話:06-6947-1966)
木造住宅の耐震補強
住まいの耐震補強にはさまざまな方法があります。ここでは、木造住宅の耐震補強の主な方法について紹介します。
(写真提供:公益社団法人大阪府建築士会)
1.屋根の軽量化
土を屋根全体に敷き、その上に粘土瓦を置く土葺瓦屋根の場合は、より軽い屋根に葺き替えます。
2.基礎、土台
建物全体を支える基礎部分が弱い場合は、基礎を追加するなどして強化します。
3.壁
壁の内側に筋かいを入れたり、耐震パネルを追加して耐力壁を増やします。
4.柱
柱と梁や土台の接合部分を金物や火打ちで強化します。
耐震補強をリフォームと合わせて行うことも可能です。使い勝手をよくするために壁を撤去し、耐震性能が弱まる場合もあるのでリフォーム時には注意が必要です。耐震補強やリフォームを行う際は、内容や金額で揉めることがないよう、分からないことは質問し詳細な見積りを取りましょう。信頼できる工務店へ依頼したり、専門家に相談するのもリスクを避ける方法の一つです。
住まい情報センターの専門家相談についてはこちらをご覧ください。