オフィス街のオープンスペースで深呼吸
三休橋筋 さんきゅうばしすじ
三休橋筋は御堂筋と堺筋、二つの大通りのちょうど真ん中にあり、土佐堀通から長堀通までを南北に貫くおよそ2キロの道だ。働く人が忙しく行き交うオフィス街だが、歩いてみるとゆったりと過ごす人も多いことに気づく。船場エリアのまちづくりに携わる篠原祥(しのはらやすし)さんに、三休橋筋の魅力について聞いた。
中之島から栴檀木橋を渡って三休橋筋に入ると、広々とした歩道に驚く。土佐堀通と交わる角地に建つビルの公開空地が歩道と連続したデザインになっているため、歩行空間が広いのだ。車の交通量は多いが、北向き一車線のみ。中央大通までは三休橋筋の両側に拡幅された歩道があり、街路樹やガス燈が落ち着いた雰囲気を醸し出している。
かつての三休橋筋は電柱・電線が地上にあり、歩道は狭く、ゆったり過ごせる道ではなかった。2000年頃から船場エリアのまちづくりが動き出すと、三休橋筋の魅力に注目する人たちが現れる。篠原さんらが立ち上げた三休橋筋愛好会だ。その後、2006年に着工した大阪市のプロムナード*1整備は、まちづくり活動と並走しながら進んだ。行政と地域が、三休橋筋の公共空間の整備について、何度も意見交換会を重ねたという。
*1プロムナード:散歩道。遊歩道のこと
中央大通より北側で実施した整備事業では、街路樹に栴檀が選定され、歩道の拡幅や電線の地中化が行われた。2014年に設置が完了した55本のガス燈は、まちづくりに共感した企業・団が寄贈したものだ。以降、建物の低層部分は緑化を推奨する*2など、心地よく過ごせる人中心の空間づくりを意識したまちなみづくりが続いている。
*2 船場地区HOPEゾーン事業まちなみガイドライン「船場のまちなみ作法三休橋筋編」をご覧ください。
そんな中、高層建築物の周囲にある公開空地は、三休橋筋の魅力向上に一役買っている。趣向を凝らした緑地、ベンチの設置、キッチンカーの誘致やイベントの開催地となる。建物が密集する都心でありながら、公開空地やオープンスペースがいくつもあるため、圧迫感がなく空間にゆとりを感じる。取材時には幼稚園から帰宅する住人の姿を見かけた。歩くのに疲れたのか小さな男の子を連れた親子が休憩していた。
篠原さんは、現在の三休橋筋について「2000年以降、飲食店など小さな店が増えました。まちづくりに貢献したいと、企業が自主的に設けたオープンスペースもあります。ビルが建て替わることで生まれた公開空地も、新たな魅力を生み、まちが変化することで魅力も変化していく。これからも三休橋筋の魅力を発信し続けたいですね」と語った。
三休橋筋のマップ