住まいの維持管理
災害備えて 第1回
NPO法人住宅長期保証支援センター理事長 鈴森素子
最近は地震、台風に代表される災害だけでなく、線状降水帯や40度近い異常気象が発生し、これらも含めて災害と捉え、対策を取ることを余儀なくされています。
大阪の災害は地震が多く、地震の備えに続いて、雨や洪水の備えも欠かせません。災害から一日も早く日常生活に戻るためにも、災害を「わがこと」として捉え、対応することが第一の備えです。なかでも「わがこと」を身に付けるための自助・共助の実践、訓練をすることが必要です。
災害にそなえる住まいの準備 自助・共助
備えへのスタートは「ハザードマップ」の確認と活用、そして訓練です。ハザードマップは地図情報だけでなく災害時避難所や津波避難ビルなど災害に備える情報がぎっしり詰まっています。ご家族で避難経路や避難場所の確認、自宅周辺を歩き、気が付いたことはハザードマップに記載、緊急連絡先なども記載し、この一枚に我が家の災害時の情報をまとめておきましょう。
災害時に被害を最小限にするためにも建物の健康状態を年一回はチェックし、記録(いえかるて*)を付けましょう。*家の住宅履歴情報を保管するスキームの名称
ご近所の方と日頃の挨拶を通じて親交を深めるとともに、町内会や学校区で開催される防災訓練に参加するなど、ご近所や地域との共助の体験を通じて災害に強いまちにしましょう。
建物の維持管理の実施と記録(いえかるて)
建物は建築直後から劣化が進行しますが、劣化の進行を遅らせ、安全な住まいにするには、日頃の清掃に始まる住まいの維持管理が大切です。家の維持管理は歯のメンテナンスと似ています。定期的な点検をすることで早期に手当てが行え、歯の健康が体の健康に繋がるように、建物の点検が建物の健康状態を「可視化」します。そうすることで外壁や屋根等の計画的な大規模修繕等に繋がり、災害時の被害を抑え、結果、防災に貢献します。
台風や地震、大水害などの後は、被害が無くても、記録を残し後日役立てましょう。万が一、空き家になっても記録があると役立ちます。
かかりつけ医のように事業者と付き合う
災害時の混乱の中で事業者を探すことは困難と言うより不可能に近いです。かかりつけ医のような事業者を通じて対応できる事業者を紹介してもらうと安心です。直接知らなくても、付き合いのある事業者の紹介なら心強くトラブル防止にもなります。今、直接仕事の依頼や相談が無くても近隣の事業者が発信している情報や得意分野、災害時の対応などをSNS等でチェックしておくとよいでしょう。
これらの行動が災害を「わがこと」として対応する上で大事なポイントです。