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収蔵資料紹介 浪花行事十二月 「卯之花月 ざこば魚じま」 二代貞信 作、昭和14(1939)年

お知らせ

今昔館トピックでは、昨年の4月より「浪花行事十二月」から季節に合わせて作品を紹介してきました。今回は、そのなかでまだ紹介できていなかった作品「卯之花月 ざこば魚じま」をご紹介しましょう。卯之花月すなわち旧暦の4月は、現在の暦では5月ごろになります。



雑喉場の魚市は江戸堀・京町堀等の西にあり、魚問屋が軒を連ねました。遠近の浦々より鯨やマグロ、ブリなどの大魚から鰯などの小魚まで様々な魚が運びこまれました。本図は明け方の薄暗い中、魚を小船からおろし、問屋に運び込む様子が描かれ、人の姿はシルエットですが、勢いが感じられます。嘉永二年(1849)年の「浪花十二月画譜」によると「桜鯛、三月下旬より四月上旬を魚島時といふて、鯛の美味格別なるゆゑ、家毎にこれを賞美す。或人の句に、花うりがほめてゆくなり桜鯛」と書かれているように、ここから運ばれた春の鯛が賞味されていたようです。

以上で、浪花の年中行事風俗を1年分ご紹介させていただいたことになります。
当時と同じ形で年中行事を行うことは、現在では難しいかもしれません。しかし、時には立ち止まってかつての風習に思いをはせることで、日本の四季を一層楽しんでいただけるのではないでしょうか。



浪花行事十二月
二代貞信(1848〜1940)筆 
昭和14(1939)年
絹本着色 一帖 当館蔵

(一月)睦月  今宮十日恵比寿
(二月)梅見月 野里住吉一夜官女
(三月)桜月  十三堤草つみ
(四月)卯之花月 ざこば魚じま
(五月)橘月 梅田牛の藪入り
(六月)雷師月 夏まつり
(七月)七夕月 盆をとり
(八月)月見月 彼岸会
(九月)紅葉月 重陽菊の使
(十月)時雨月 誓文払
(十一月)霜月  番船
(十二月)春待月 顔見世芝居

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