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美術品に描かれた人々の暮らしを発見(後編)

お知らせ

 現在開催中の 「今昔館の宝箱」展(5月15日まで)展示中の屏風や襖は、文学の場面や中国の故事に基づいた絵、大坂のある地域や行事など、色々なテーマで描かれています。
今回も、描かれた「ひと」に注目して出展作品をご紹介しましょう。

佐々木蜻洲による「漁樵図」屏風(当館蔵)。
自然の中で働く人たちを河や海と山を対比させて描いている、と先日ご紹介しました。



絵に描かれている人をよく見ると、働いている人よりも休んでいる人の方が多いようです。
特に、左隻の山で休憩中の一番左の男性。頬づえをついて寝そべり、脚をぶらぶらとさせている様子は、なんだか可愛らしく感じます。



一番右のひざを抱えている男性は眠っているのか…仲間はずれになってうつむいているのではないといいのですが。


最後は「蘭亭曲水宴図」江阿弥筆(当館蔵)です。
中国の王義之(おうぎし)の住まう蘭亭に招かれた、名士41人が曲水の宴を催している様子が描かれています。



曲水の宴は、お酒の入った杯を川に流し、自分の前を通り過ぎるまでに一句読めなければ、酒を飲み干すという遊びです。
こちらの男性は歌が詠めたのでしょうか、流れる杯を見守っています。
こちらは川に背を向けて、すでに宴会に突入しているようですね。



このように、一見難しそうな絵も、人に注目すると生き生きと暮らしている様子が見つかります。まず描かれているものを見て部分に興味を持ち、さらに作品の画題を深めていくという絵の見方も楽しいのではないでしょうか。

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