現在開催中の 「今昔館の宝箱」展(5月15日まで)展示中の屏風や襖は、文学の場面や中国の故事に基づいた絵、大坂のある地域や行事など、色々なテーマで描かれています。
そういった作品はテーマを知っていないと分かりづらく、難しく感じてしまいます。もちろん、描かれた画題の意味が分かるとより深く楽しむことができますが、今回は違った楽しみ方をご紹介します。
それぞれの作品の中に描かれる「ひと」に注目してみましょう。
今回の展示している作品にはたくさんの「ひと」が描かれています。何をしているかな?と見ていると、面白い場面がいくつもあります。
雪遊びをする少女たち
源氏物語図屏風 森家(紀州 卜半 森十右衛門)蔵 のうち、左隻 第20帖「朝顔」部分
雪の月夜に少女たちを庭におろし、雪遊びに興じる様を、源氏と紫上が御殿から見物している様子です。
それにしても大きな雪の玉です。少女3人で抱えて、高さも肩ぐらいまであります。
巨大雪だるまでも作成するのでしょうか。重いのではないか、とか着物の裾が大丈夫だろうかなどと心配してしまいます。おそらく、季節感を出すために誇張して描いているのでしょう。
一方で源氏と紫上は「あんなにはしゃいで可愛いわね」とでもいうように、会話がはずんでいる様子です。
次は、「住吉図」屏風 佐野龍雲筆(個人蔵)です。
この絵は住吉の社頭から浜までの風景を描いていますが、中には赤い毛氈を敷いて宴会をしている人や、潮干狩りをしている人など春の訪れを楽しむ人々が細やかに描かれています。
左隻の松林の中には人だかりができています。
曲芸師が、棒を顎にのせ、タライを乗せてバランスをとって見せているようです。その様子に夢中になっている右下男性(黒い羽織に青い縞の着物)に注目すると…あ、大変!
後ろの白い着物に笠をかぶった男が、男性の腰の巾着をつかみ、切ろうとしているではありませんか。曲芸を見る時もスリにはご注意です。
後編につづく
美術品に描かれた人々の暮らしを発見(前編)
2016.5.5
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