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10周年記念シンポジウム~リレートーク①~
リレートーク①
「人も住まいも長寿時代! これからの住宅相談活用術」
コーディネーター:森田多佳子(元住宅相談員、住宅相談ライター)
パネラー:
宇都宮忠(住まい情報センター 専門家相談員、マンション管理士)
鈴森 素子(NPO法人 住宅長期保証支援センター 専務理事)
米沢 なな子(高齢者住宅情報センター センター長)
森田:では早速「人も住まいも長寿時代、これからの住宅相談活用術」というテーマで、最初のリレートークを始めます。
当住まい情報センターでは、開館以来、住宅に関する相談を受けています。住宅に関する相談は、法律や建築・資金計画・税金など、多くの分野にまたがっていて相談できる場所も分散しておりました。そこで、一ヶ所でワンストップで、何でも相談できる場所があれば便利ではないかということで、他都市に先駆けてこの住まい情報センターでの相談業務が始まったわけです。ただ最近は相談の内容も、複雑化・多様化・専門化しているように思います。そこで本日は専門家として長く相談を受けておられる皆さんをパネラーにお招きしました。
では早速、皆さんに最近の傾向についておうかがいしたいのですが、まず住まい情報センターの相談の傾向を少し見ていただきたいと思います。住まい情報センターの相談件数は、昨年度(平成20年度)は5,000件弱。推移は平成14年度をピークに、少し減少傾向にあります。
次に相談内容の内訳ですが、これは昨年度の相談の中から多い相談20項目をピックアップしましたが、賃貸借では「原状回復」に関すること、売買では「契約」に関すること、そのほかには「リフォーム」の相談が多くなっています。
また、ここ数年間の変化としましては、「マンション管理」の相談が開館当時以来約4倍に件数が伸びています。高齢者からの相談件数も、ここ5年で約1.7倍と多くなっております。高齢者からの相談だけでシェアを見ますと「マンション管理」の相談と、「相続」の相談のシェアが他の年代と比べて多くなっています。
住まい情報センターの相談体制は、まず相談員が一般相談として電話や面談で相談をお受けして、相談員が応じ切れない専門的な内容のものにつきましては、センター内で実施しております専門家相談をご案内したり、外部の専門家団体の相談(有料のケースもあり)をご紹介しております。
以上のような内容になっていますが、ではパネラーの皆さんのところでは、最近相談は増えておりますでしょうか?またどんな相談が多いのか、お聞かせください。
鈴森:私ども住宅長期保証支援センターは、住宅の長寿命化、今、200年住宅や長期優良住宅と盛んに言われだしましたが、これを先取りする形で平成14年の4月に大阪府の認可を受けて発足した団体です。実際の活動は、住宅相談以外に、業界のメンテナンス診断員を養成したり、住宅履歴の保存というような仕事をさせていただいております。
住宅のトラブルの発生・拡大の防止及び初期段階での課題解決という目的のひとつとして、住宅相談をとらえています。
ただ、契約前に知っておいていただく、賢い消費者になっていただくための情報提供を主にしたかったんですが、現実はトラブルが発生してからの相談が、99.99%と言っても過言ではないような現状です。
私どもの会員は、地域の建築業者さんが大半を占め、設計士さんが若干いらっしゃるという構成ですので、施工に強い相談窓口と言わせていただいています。その関係から相談内容は、引渡しを受けてからの建物の不具合、具体的には「不同沈下」や「雨漏り」に関するものが多いです。
若干中古住宅の相談、「中古住宅を購入したいけども、これでいいのだろうか?」「リフォームするほうがいいのか、あるいは建て替えたほうがいいのか?」というようなご相談もあります。
また、人間関係に関わる相談もあります。「ほんとにこんなひどい目にあって、業者を懲らしめたい」というような相談をたまにいただくんですが、そういう人間関係のトラブルには、私ども一切介入できませんのでその辺は対応しないことをお話しさせていただいています。15~20分弱の時間の相談をさせていただいております。
一年に一回くらいは、電話相談の日を決めて実施し、それ以外は事務所で、私が主に対応しています。現実的には実際のトラブルが発生したことを電話でお聞きして解決するというのは、とても難しいので、電話は15分くらいにさせていただいて、その後は実際の住宅を診断をさせていただいています。
「どうも不同沈下みたい」という相談があり、電話で回答者もどうも不同沈下のようだと推察したときには、建築士さんを派遣するか紹介して、現地に行っていただいています。
弁護士さんが必要になる場合には、直接弁護士さんに相談していただいています。その場合にも、建築士が、「断熱材がきっちり入っていない」「雨漏りの状況がどうだ」「長屋の小屋裏の梁が外れている」など証拠となる状況を見に行くことにしています。
相談件数は、私どもが平成14年から始めておりますが、平成16年がピークだったように思います。件数は減少していますが、内容は複雑化しているように思いますね。
宇都宮:私は住まい情報センターで週一回、分譲マンション管理についてのご相談をいろいろお受けしています。
一番多いのが「管理会社さんとの関係」、二つ目が「理事会の運営」、三つ目が「修繕工事の関係」、四つ目が「役員資格とか選出方法」、五つ目が「総会の運営や議事録の問題」、がベスト5です。
平成20年は142件のご相談がありました。その前年は120件で、一昨年に比べて昨年は増えているということです。マンションもご承知のようにどんどん増え、しかもいわゆる、築年数が経過したマンションもどんどん増えていると、こういうような状況になるのは、当然と言えば当然かもしれません。私がお受けしているのが木曜日ということで、通常の営業日に来られる時間のある方は、どうしても高齢者の方が多いということで、高齢者のマンション管理についての相談が多いという、そういうことだと思います。
相談をお受けして感じることは、ひとつは管理会社さんとの関係の相談が一番多いということですが、管理組合(役員や居住者の方)が管理会社に何を委託しているのかをあまりよくわかっておられないケースが多いようです。委託契約を結んで、いろんな業務を管理会社さんにお願いされていますが、いったいその管理会社に何をしてもらっているのか、委託費を払って、具体的にどういう仕事をやっていただいているのか、よくわかっておられない。管理会社は何でもやってくれるというふうに思っておられる方も結構いらっしゃいまして、契約書や仕様書に、管理会社はこういう仕事をしますよと、いうことが書いてあるんですが、その辺をよく理解していただいていないケースが結構多くございます。従って皆様は、管理会社に具体的に何をお願いしているか、それ以外のことをお願いするのであれば、それは別途ということになりますので、その辺の理解を十分にしていただきたいなと思います。他方、管理会社のフロントマンの資質というか、サービスの質がやや劣っていると感じることがあります。
そういったことがあるので、管理会社との問題が相談として一番多いのかなと思います。お互いの認識や理解を十分に深めていただくことが大事だと思います。
二番目に理事会運営の相談が多いです。理事長が管理組合としては最高責任者ではありますが、この方が、どうも一人で突っ走ってしまうことが多いようです。管理組合は基本的に合議制の団体ですので、役員なら役員がきちっと相談して、理事会としての方針を出してやっていくのが大事ですが、理事長一人だけが走っていくと、あとの役員さんは「なんかようわからん」ということになり、理事長が勝手に決めてしまい、結果、そういうことに関する相談も結構この状況の中では多い、こういうことだと思います。
管理組合あるいは理事会というものは、皆さんで相談をしながらすすめるという団体ですので、理事長はある程度リーダーシップは必要なんですが、そんな中でも他の理事や組合員と相談しながら、合意形成をして進めていくことが大事かなと思います。
米沢:私どもは、社団法人コミュニティ・ネットワーク協会という団体です。
この団体は10年前に設立されたんですけれども、会長が医者でございます。このお医者さんがちょっと変わったお医者さんで、あまり延命治療や無意味な手術はしないほうがいい、最後まで自分らしく尊厳を持って人生を完成させて欲しいということを理念としておりまして、こういう活動を支えるために医療チーム、介護チーム、看護チーム、地域コミュニティ等が力を合わせあって、そういう社会を作ろうじゃないか、と言いだし、それが私ども社団法人の理念でもあります。
私ども社団法人では、そういうことがありまして高齢者住宅の情報提供や相談紹介業務をしています。それ以外に、日本の住宅における大きな問題、団地再生にも取り組み始めています。ニュータウンがオールドタウンになり、特に高齢者が一番困っておられます。また、過疎地の問題にも取り組み始めています。
私は6年前からこの社団法人の「高齢者住宅情報センター」という中で、高齢者住宅に関する情報提供・ご相談・ご紹介というのを無料でさせていただいております。本部が東京にございますので、この情報センターも東京・銀座と名古屋と大阪・梅田の3ヶ所で行っております。3都市のネットワークを作って、たとえば今たまたま関西にいるけれども、もともと関東出身であるとか、子供が名古屋にいるので名古屋で探したいとか、そういう場合にも情報提供をさせていただいております。
私どもにご相談にこられる方というのは、自宅ではもう限界かなーということで相談に来られるんですね。高齢者住宅というのは、つくづくハードではなくてやはりソフトです。以前は子どもがいない方や独身の方のご相談が多かったんですが、いま私どもへの相談が増えているのは、子どもがいる方の相談も増えています。今日ここに来られている方の年代でしたら、おそらく老後を子どもにお世話になろうと思っている方は、おられますか?・・・おられないですよね。皆さん、「今は元気だからいいんだけど、介護になったら子どもに迷惑をかけたくない」と判で押したようにおっしゃって、私どものほうにご相談に来られます。
ですから、今ご相談は早い方で、定年終わった60代くらいの方から、年のいかれた方は、この間も94歳の方が将来のためにとご相談に来られ、いろんな年代の方が来られます。毎月新しい相談が60件くらいです。私ども、東京・名古屋・大阪で1万人くらいの相談者の名簿をもっておりまして、何回も相談される方も多いのです。こういった前から相談を受けている方からの問い合わせや来場は、新しい相談の3倍くらいあります。
「一軒家には住むのはもう限界」「普通のマンションでは隣近所の付き合いがないので、不安」など個々のケースがあるものの、基本的に探しておられるのは安心して住めるということなんですね。
ご相談には介護のご相談ももちろんあります。介護のご相談というのは、一般的にケア・マネージャーにご相談なさっているケースもありますが、私どもでも4割くらいは介護のご相談なんです。それ以外の6割はお元気な方のご相談、さっきお話ししたように、今は元気だが将来のためにということで相談があります。今、TVや新聞では毎日のように高齢者住宅の宣伝があり、たとえば、外国の老夫婦が手をつなぐようなイメージが出たりしていますが、実際のところは、高齢者住宅の中身をあまりおわかりになっていないと思います。
厚生労働省や国土交通省の役人は、高齢者の方にわかりにくくするかのように、高齢者住宅を区分けされておりまして。ですから私どもは、住まい情報センターがされているように、高齢者住宅の情報を提供するだけでなく、高齢者住宅に関する勉強会の開催、見学会の開催をしています。それは、相談者にとってどういう高齢者住宅が一番安心かということをわかっていただくために、勉強会や見学会を開催しています。相談件数も関心度も非常に高くなっているように思います。
森田:高齢期は、誰も避けて通れない道なので、今後ますます相談が増えるものと思います。ありがとうございました。
では、続きましてもうひとつ質問をしたいと思います。皆さんそうやって様々な悩みを抱えた方からのご相談を受けているわけですが、これまでの経験から相談に当たって、相談者が気をつけるべきこと・賢い相談の仕方のようなものがあればお教えください。
鈴森:私ども基本的に戸建住宅が、相談の大半でございます。そういった中で、消費者の方にかならずお願いしたいのが、時間的なゆとりを持っていただきたい。ということ。もうひとつは、家は私たち人間の体と同じように、常に変化していくものである。この二つのことなんです。
まず最初のほうの「時間のゆとりを持って」は、ほとんどの場合トラブルが起こってから、お電話をいただきます。起こってすぐならまだよろしいのですが、雨漏りですともうずっと雨漏りしていて、だんだんひどくなってきた。それが3年前、5年前ということをよくお聞きするんですね。だからいい住宅を建てようと考えた場合は、情報をしっかり取っていただきたい。要するに業者さんが持っている情報と同じものということはほぼ不可能ですが、それでもできるだけいろんな情報を取っていただきたい。できれば家を買おうとする、建てようとする前のせめて2年くらい前からは意識的に情報を取っていただきたい。そうすると、何回も何回も情報を取ることで、自分の中で情報を整理できたり、「あー、これはやっぱり要らないわ」とか「こんなことになったの」とか、自分の気づきの部分も出てくるかと思います。多くの情報を取って、一年くらいたったら、一回そこで整理をしてみよう!っていうことになります。情報といっても、業者さんの情報、建材の情報、広報の情報、お金の情報など、多種多様な情報を取らないと、家一軒のことになりません。なので、本当は2年でも短いくらいなんです。
皆様、車がお好きな方だったら車の情報だとか、これからゴルフをやろうかなという男性であれば、ゴルフの情報は絶えずウォッチして、本を買ったりショップに行ってチラッと見たり、ということをしていると思います。住宅もまだまだ先のことだわ、と思わないで、いつか建てるかも知れない、いつか買うかもしれない、どんなものか見に行こう、ということをゆっくりやってください。昔であれば、家のことは、何かしらお手伝いをしたり、隣近所で親戚がリフォームするから、家を建てるから、お手伝いに行かさせたり、ということで自然と学んだ部分があったんですけれども、今はまったくそういうものが、なくなっているんですね。だからそれはウォッチも含めてやっていただきたいということがまずひとつですね。
このことがやはりトラブルの防止につながります。できれば住宅のトラブルにあわない。あっても本当に小さなうちに解決してしまう、あるいは拡大しない。住宅のトラブルは、本当に何でもないことが対応が悪いことによってものすごいトラブルになっていきます。そうなったら本当に不幸なことになりますので、できるだけそうならないように、情報収集をしていただきたい。
もうひとつの特徴は、家は人間と同じですよって言いましたように、当然家は変化していくわけです。私たちは工業製品を買うことに慣れきっていますので、新築の家を買ったら、ずーっと新築のままだと思いたい。年収の何倍ものローンを組んで払っていきますので、その気持ちは痛いほどわかるんです。痛いほどわかるんですが、家の前には大きな道路があれば、トラックが通れば地面はしょっちゅう揺れています。そうすると家はその振動を受けている、あるいは住まい方でもいろんな変化をしていきます。工業製品と大きく違うのが、家の特徴のひとつです。いくらプレハブメーカーの家でも一軒一軒職人さんたちが作っていくものなんです。
そうすると瑕疵というものはどうしても避けて通れない問題です。見えない不具合と私たちは言ってます。それもだいたい普通であれば2年くらいでわかる、雨漏りや構造は10年間の瑕疵担保の期間が設けられていますので、その間、瑕疵なのかどうかという目で、ご自分で家を時々チェックしていただきたい。
私たちが自分の誕生日に人間ドックに行くようなものです。ちょっと普段見ないところを何月何日と決めて、毎年チェックしてみてください。先日も1年半居住したマンションの洗面台の下に、水漏れがあってカビが生えているというご相談をいただいたんですが、1年半の間、床や洗面台の下を見なかったのかなと思いました。自分でも定期的に家の点検をして、何か前と変わってるなというようなことに気づいていただきたい。
そのことが、早いうちに(まだ芽のうちに)解決し、拡大しないということにつながるかと思います。今はやりの自己責任という、とても突き放したような言い方ですが、やはり専門家が解決する問題と、住まい手が解決する問題ということを、ぜひ住まい手の側で仕分けしながら、やっていただきたい。
ご相談のときにも、5W1Hを伝える、定点観測の状況説明をするといったある程度ポイントをおさえた相談をしていただくと、こちらも短い時間でお答えさせていただくことができると思っております。
宇都宮:マンションの場合は壁ひとつでお隣ですので、必ずルールというものがあるはずです。それが管理規約であり、細則でありということですが、それをまず読んでいただきたいと思います。それをあまりご存じない、読んだことがない方が結構いらっしゃいます。また、こちらに来られるときは、そういった資料をできるだけ持って来ていただきたいと思います。
ご相談される内容ですね、これを簡単に簡潔に、要点を絞ってお願いしたいと。派生するお話は結構あるんですが、何を聞きたいのか?何をご相談したいのか?というのを整理をしてから、来ていただきたいなと思います。
それから、よくあるのはですね、役員さん同士の意見の違い、居住者同士の意見の違いについて、お話しに来られます。こちらは相手のお話を聞いてませんで、ご相談に来られた方のお話だけを聞いて、アドバイスなりなんなりのお答えをさせていただくということです。相手のお話を聞いていないので一方通行ということになりますので、私どものお話はあくまでも参考にしていただくというふうに考えていただきたい。ここで聞いた話が、金科玉条というふうには思わないでいただきたい。相手さんのお話を聞いたら、また違うお話が出てくる可能性もございますので。そういうところをちょっと気をつけていただきたいな思います。
米沢:介護のご相談で来られる場合の介護施設・介護住宅については、やはり予算というか、お金に正直です。いい施設なのに、すごく費用が安いといったことは、残念ながらありません。
特別養護老人ホームなどの施設は別ですけれども、それ以外はハードが良かったり、スタッフの数が多かったり、食事ができたてだったりとなりますと、それなりの費用がかかるということです。こういう内容の相談は、急を要しますので、その方の状況にあわせて、私どもでご紹介しますが、皆様にお話しするとしたら、自分の老後は自分で決めていただきたいということです。
将来介護になったときのために相談に来られますが、実際に介護になったときに相談に来ることはできません。高齢者住宅・施設に動こうと思えば、自宅を売却し、荷物の整理をし、自分が入るべき住宅を見学し、そこで契約をして、引越しをして、新しい生活に慣れて、そこで暮らすという、非常に体力も気力も要る仕事なんです。ですから高齢者住宅への住み替えを考えておられるなら、ほんとに自分が決断できて自分が動ける元気な間に、動いていただきたいということです。
私は同級生が、親がちょうど80代くらいになっています。親夫婦二人だけでは生活ができない、認知症の症状も出てきている、しかし、子どもから住み替えたらどうかとも言えない、多分親だけでは住み替えもできない、そういう状況になってからでは、本人も家族も非常に苦労しますし、大変な思いをします。
ですからこれからの方でしたら、自分の老後は、自分はどこでどう住んで、どう住まうか?具体的にどこでどう死ぬかという問題になってくると思うんですが、そういうことを考えていただいて、お元気な間に自分で決めていただきたい。子どもにたくさんお金を残すことはではなく、自分のために使う、だからこそご自分のことをしっかり決めていただけたらいいなと思います。
その方の生活設計や資産等にあわせて、無理のないちゃんとした会社などを選んでいただきたいので、そういったことに関してはまた勉強していただけたらと思います。
森田:どうも貴重なアドバイスをありがとうございました。相談に当たっては、必要な資料をそろえたり、情報を整理するなどの、事前の準備をすることによって、同じ相談をするにしても、より役に立つ回答が得られるということですね。
トラブル防止のためにもできれば、早めに相談、また体力のある元気なうちに動くことが大切だというお話でした。
また、何でも専門家に解決してもらうという姿勢ではなく、専門家の助言を元に自分自身の考えをまとめる、参考にするという心がけが重要だと思います。
皆さんも今日のお話の中で、何かひとつでもヒントをつかんでいただけたかと思いますので、これからどうぞ有効に相談を活用していただきたいと思います、私も予習をして早めに米沢さんのところに相談にいきたいと思いますので、よろしくお願いします。
リレートーク①
「人も住まいも長寿時代! これからの住宅相談活用術」
コーディネーター:森田多佳子(元住宅相談員、住宅相談ライター)
パネラー:
宇都宮忠(住まい情報センター 専門家相談員、マンション管理士)
鈴森 素子(NPO法人 住宅長期保証支援センター 専務理事)
米沢 なな子(高齢者住宅情報センター センター長)
鈴森 素子(NPO法人 住宅長期保証支援センター 専務理事)
米沢 なな子(高齢者住宅情報センター センター長)
森田:では早速「人も住まいも長寿時代、これからの住宅相談活用術」というテーマで、最初のリレートークを始めます。
当住まい情報センターでは、開館以来、住宅に関する相談を受けています。住宅に関する相談は、法律や建築・資金計画・税金など、多くの分野にまたがっていて相談できる場所も分散しておりました。そこで、一ヶ所でワンストップで、何でも相談できる場所があれば便利ではないかということで、他都市に先駆けてこの住まい情報センターでの相談業務が始まったわけです。ただ最近は相談の内容も、複雑化・多様化・専門化しているように思います。そこで本日は専門家として長く相談を受けておられる皆さんをパネラーにお招きしました。
では早速、皆さんに最近の傾向についておうかがいしたいのですが、まず住まい情報センターの相談の傾向を少し見ていただきたいと思います。住まい情報センターの相談件数は、昨年度(平成20年度)は5,000件弱。推移は平成14年度をピークに、少し減少傾向にあります。
次に相談内容の内訳ですが、これは昨年度の相談の中から多い相談20項目をピックアップしましたが、賃貸借では「原状回復」に関すること、売買では「契約」に関すること、そのほかには「リフォーム」の相談が多くなっています。
また、ここ数年間の変化としましては、「マンション管理」の相談が開館当時以来約4倍に件数が伸びています。高齢者からの相談件数も、ここ5年で約1.7倍と多くなっております。高齢者からの相談だけでシェアを見ますと「マンション管理」の相談と、「相続」の相談のシェアが他の年代と比べて多くなっています。
住まい情報センターの相談体制は、まず相談員が一般相談として電話や面談で相談をお受けして、相談員が応じ切れない専門的な内容のものにつきましては、センター内で実施しております専門家相談をご案内したり、外部の専門家団体の相談(有料のケースもあり)をご紹介しております。
以上のような内容になっていますが、ではパネラーの皆さんのところでは、最近相談は増えておりますでしょうか?またどんな相談が多いのか、お聞かせください。
鈴森:私ども住宅長期保証支援センターは、住宅の長寿命化、今、200年住宅や長期優良住宅と盛んに言われだしましたが、これを先取りする形で平成14年の4月に大阪府の認可を受けて発足した団体です。実際の活動は、住宅相談以外に、業界のメンテナンス診断員を養成したり、住宅履歴の保存というような仕事をさせていただいております。
住宅のトラブルの発生・拡大の防止及び初期段階での課題解決という目的のひとつとして、住宅相談をとらえています。
ただ、契約前に知っておいていただく、賢い消費者になっていただくための情報提供を主にしたかったんですが、現実はトラブルが発生してからの相談が、99.99%と言っても過言ではないような現状です。
私どもの会員は、地域の建築業者さんが大半を占め、設計士さんが若干いらっしゃるという構成ですので、施工に強い相談窓口と言わせていただいています。その関係から相談内容は、引渡しを受けてからの建物の不具合、具体的には「不同沈下」や「雨漏り」に関するものが多いです。
若干中古住宅の相談、「中古住宅を購入したいけども、これでいいのだろうか?」「リフォームするほうがいいのか、あるいは建て替えたほうがいいのか?」というようなご相談もあります。
また、人間関係に関わる相談もあります。「ほんとにこんなひどい目にあって、業者を懲らしめたい」というような相談をたまにいただくんですが、そういう人間関係のトラブルには、私ども一切介入できませんのでその辺は対応しないことをお話しさせていただいています。15~20分弱の時間の相談をさせていただいております。
一年に一回くらいは、電話相談の日を決めて実施し、それ以外は事務所で、私が主に対応しています。現実的には実際のトラブルが発生したことを電話でお聞きして解決するというのは、とても難しいので、電話は15分くらいにさせていただいて、その後は実際の住宅を診断をさせていただいています。
「どうも不同沈下みたい」という相談があり、電話で回答者もどうも不同沈下のようだと推察したときには、建築士さんを派遣するか紹介して、現地に行っていただいています。
弁護士さんが必要になる場合には、直接弁護士さんに相談していただいています。その場合にも、建築士が、「断熱材がきっちり入っていない」「雨漏りの状況がどうだ」「長屋の小屋裏の梁が外れている」など証拠となる状況を見に行くことにしています。
相談件数は、私どもが平成14年から始めておりますが、平成16年がピークだったように思います。件数は減少していますが、内容は複雑化しているように思いますね。
宇都宮:私は住まい情報センターで週一回、分譲マンション管理についてのご相談をいろいろお受けしています。
一番多いのが「管理会社さんとの関係」、二つ目が「理事会の運営」、三つ目が「修繕工事の関係」、四つ目が「役員資格とか選出方法」、五つ目が「総会の運営や議事録の問題」、がベスト5です。
平成20年は142件のご相談がありました。その前年は120件で、一昨年に比べて昨年は増えているということです。マンションもご承知のようにどんどん増え、しかもいわゆる、築年数が経過したマンションもどんどん増えていると、こういうような状況になるのは、当然と言えば当然かもしれません。私がお受けしているのが木曜日ということで、通常の営業日に来られる時間のある方は、どうしても高齢者の方が多いということで、高齢者のマンション管理についての相談が多いという、そういうことだと思います。
相談をお受けして感じることは、ひとつは管理会社さんとの関係の相談が一番多いということですが、管理組合(役員や居住者の方)が管理会社に何を委託しているのかをあまりよくわかっておられないケースが多いようです。委託契約を結んで、いろんな業務を管理会社さんにお願いされていますが、いったいその管理会社に何をしてもらっているのか、委託費を払って、具体的にどういう仕事をやっていただいているのか、よくわかっておられない。管理会社は何でもやってくれるというふうに思っておられる方も結構いらっしゃいまして、契約書や仕様書に、管理会社はこういう仕事をしますよと、いうことが書いてあるんですが、その辺をよく理解していただいていないケースが結構多くございます。従って皆様は、管理会社に具体的に何をお願いしているか、それ以外のことをお願いするのであれば、それは別途ということになりますので、その辺の理解を十分にしていただきたいなと思います。他方、管理会社のフロントマンの資質というか、サービスの質がやや劣っていると感じることがあります。
そういったことがあるので、管理会社との問題が相談として一番多いのかなと思います。お互いの認識や理解を十分に深めていただくことが大事だと思います。
二番目に理事会運営の相談が多いです。理事長が管理組合としては最高責任者ではありますが、この方が、どうも一人で突っ走ってしまうことが多いようです。管理組合は基本的に合議制の団体ですので、役員なら役員がきちっと相談して、理事会としての方針を出してやっていくのが大事ですが、理事長一人だけが走っていくと、あとの役員さんは「なんかようわからん」ということになり、理事長が勝手に決めてしまい、結果、そういうことに関する相談も結構この状況の中では多い、こういうことだと思います。
管理組合あるいは理事会というものは、皆さんで相談をしながらすすめるという団体ですので、理事長はある程度リーダーシップは必要なんですが、そんな中でも他の理事や組合員と相談しながら、合意形成をして進めていくことが大事かなと思います。
米沢:私どもは、社団法人コミュニティ・ネットワーク協会という団体です。
この団体は10年前に設立されたんですけれども、会長が医者でございます。このお医者さんがちょっと変わったお医者さんで、あまり延命治療や無意味な手術はしないほうがいい、最後まで自分らしく尊厳を持って人生を完成させて欲しいということを理念としておりまして、こういう活動を支えるために医療チーム、介護チーム、看護チーム、地域コミュニティ等が力を合わせあって、そういう社会を作ろうじゃないか、と言いだし、それが私ども社団法人の理念でもあります。
私ども社団法人では、そういうことがありまして高齢者住宅の情報提供や相談紹介業務をしています。それ以外に、日本の住宅における大きな問題、団地再生にも取り組み始めています。ニュータウンがオールドタウンになり、特に高齢者が一番困っておられます。また、過疎地の問題にも取り組み始めています。
私は6年前からこの社団法人の「高齢者住宅情報センター」という中で、高齢者住宅に関する情報提供・ご相談・ご紹介というのを無料でさせていただいております。本部が東京にございますので、この情報センターも東京・銀座と名古屋と大阪・梅田の3ヶ所で行っております。3都市のネットワークを作って、たとえば今たまたま関西にいるけれども、もともと関東出身であるとか、子供が名古屋にいるので名古屋で探したいとか、そういう場合にも情報提供をさせていただいております。
私どもにご相談にこられる方というのは、自宅ではもう限界かなーということで相談に来られるんですね。高齢者住宅というのは、つくづくハードではなくてやはりソフトです。以前は子どもがいない方や独身の方のご相談が多かったんですが、いま私どもへの相談が増えているのは、子どもがいる方の相談も増えています。今日ここに来られている方の年代でしたら、おそらく老後を子どもにお世話になろうと思っている方は、おられますか?・・・おられないですよね。皆さん、「今は元気だからいいんだけど、介護になったら子どもに迷惑をかけたくない」と判で押したようにおっしゃって、私どものほうにご相談に来られます。
ですから、今ご相談は早い方で、定年終わった60代くらいの方から、年のいかれた方は、この間も94歳の方が将来のためにとご相談に来られ、いろんな年代の方が来られます。毎月新しい相談が60件くらいです。私ども、東京・名古屋・大阪で1万人くらいの相談者の名簿をもっておりまして、何回も相談される方も多いのです。こういった前から相談を受けている方からの問い合わせや来場は、新しい相談の3倍くらいあります。
「一軒家には住むのはもう限界」「普通のマンションでは隣近所の付き合いがないので、不安」など個々のケースがあるものの、基本的に探しておられるのは安心して住めるということなんですね。
ご相談には介護のご相談ももちろんあります。介護のご相談というのは、一般的にケア・マネージャーにご相談なさっているケースもありますが、私どもでも4割くらいは介護のご相談なんです。それ以外の6割はお元気な方のご相談、さっきお話ししたように、今は元気だが将来のためにということで相談があります。今、TVや新聞では毎日のように高齢者住宅の宣伝があり、たとえば、外国の老夫婦が手をつなぐようなイメージが出たりしていますが、実際のところは、高齢者住宅の中身をあまりおわかりになっていないと思います。
厚生労働省や国土交通省の役人は、高齢者の方にわかりにくくするかのように、高齢者住宅を区分けされておりまして。ですから私どもは、住まい情報センターがされているように、高齢者住宅の情報を提供するだけでなく、高齢者住宅に関する勉強会の開催、見学会の開催をしています。それは、相談者にとってどういう高齢者住宅が一番安心かということをわかっていただくために、勉強会や見学会を開催しています。相談件数も関心度も非常に高くなっているように思います。
森田:高齢期は、誰も避けて通れない道なので、今後ますます相談が増えるものと思います。ありがとうございました。
では、続きましてもうひとつ質問をしたいと思います。皆さんそうやって様々な悩みを抱えた方からのご相談を受けているわけですが、これまでの経験から相談に当たって、相談者が気をつけるべきこと・賢い相談の仕方のようなものがあればお教えください。
鈴森:私ども基本的に戸建住宅が、相談の大半でございます。そういった中で、消費者の方にかならずお願いしたいのが、時間的なゆとりを持っていただきたい。ということ。もうひとつは、家は私たち人間の体と同じように、常に変化していくものである。この二つのことなんです。
まず最初のほうの「時間のゆとりを持って」は、ほとんどの場合トラブルが起こってから、お電話をいただきます。起こってすぐならまだよろしいのですが、雨漏りですともうずっと雨漏りしていて、だんだんひどくなってきた。それが3年前、5年前ということをよくお聞きするんですね。だからいい住宅を建てようと考えた場合は、情報をしっかり取っていただきたい。要するに業者さんが持っている情報と同じものということはほぼ不可能ですが、それでもできるだけいろんな情報を取っていただきたい。できれば家を買おうとする、建てようとする前のせめて2年くらい前からは意識的に情報を取っていただきたい。そうすると、何回も何回も情報を取ることで、自分の中で情報を整理できたり、「あー、これはやっぱり要らないわ」とか「こんなことになったの」とか、自分の気づきの部分も出てくるかと思います。多くの情報を取って、一年くらいたったら、一回そこで整理をしてみよう!っていうことになります。情報といっても、業者さんの情報、建材の情報、広報の情報、お金の情報など、多種多様な情報を取らないと、家一軒のことになりません。なので、本当は2年でも短いくらいなんです。
皆様、車がお好きな方だったら車の情報だとか、これからゴルフをやろうかなという男性であれば、ゴルフの情報は絶えずウォッチして、本を買ったりショップに行ってチラッと見たり、ということをしていると思います。住宅もまだまだ先のことだわ、と思わないで、いつか建てるかも知れない、いつか買うかもしれない、どんなものか見に行こう、ということをゆっくりやってください。昔であれば、家のことは、何かしらお手伝いをしたり、隣近所で親戚がリフォームするから、家を建てるから、お手伝いに行かさせたり、ということで自然と学んだ部分があったんですけれども、今はまったくそういうものが、なくなっているんですね。だからそれはウォッチも含めてやっていただきたいということがまずひとつですね。
このことがやはりトラブルの防止につながります。できれば住宅のトラブルにあわない。あっても本当に小さなうちに解決してしまう、あるいは拡大しない。住宅のトラブルは、本当に何でもないことが対応が悪いことによってものすごいトラブルになっていきます。そうなったら本当に不幸なことになりますので、できるだけそうならないように、情報収集をしていただきたい。
もうひとつの特徴は、家は人間と同じですよって言いましたように、当然家は変化していくわけです。私たちは工業製品を買うことに慣れきっていますので、新築の家を買ったら、ずーっと新築のままだと思いたい。年収の何倍ものローンを組んで払っていきますので、その気持ちは痛いほどわかるんです。痛いほどわかるんですが、家の前には大きな道路があれば、トラックが通れば地面はしょっちゅう揺れています。そうすると家はその振動を受けている、あるいは住まい方でもいろんな変化をしていきます。工業製品と大きく違うのが、家の特徴のひとつです。いくらプレハブメーカーの家でも一軒一軒職人さんたちが作っていくものなんです。
そうすると瑕疵というものはどうしても避けて通れない問題です。見えない不具合と私たちは言ってます。それもだいたい普通であれば2年くらいでわかる、雨漏りや構造は10年間の瑕疵担保の期間が設けられていますので、その間、瑕疵なのかどうかという目で、ご自分で家を時々チェックしていただきたい。
私たちが自分の誕生日に人間ドックに行くようなものです。ちょっと普段見ないところを何月何日と決めて、毎年チェックしてみてください。先日も1年半居住したマンションの洗面台の下に、水漏れがあってカビが生えているというご相談をいただいたんですが、1年半の間、床や洗面台の下を見なかったのかなと思いました。自分でも定期的に家の点検をして、何か前と変わってるなというようなことに気づいていただきたい。
そのことが、早いうちに(まだ芽のうちに)解決し、拡大しないということにつながるかと思います。今はやりの自己責任という、とても突き放したような言い方ですが、やはり専門家が解決する問題と、住まい手が解決する問題ということを、ぜひ住まい手の側で仕分けしながら、やっていただきたい。
ご相談のときにも、5W1Hを伝える、定点観測の状況説明をするといったある程度ポイントをおさえた相談をしていただくと、こちらも短い時間でお答えさせていただくことができると思っております。
宇都宮:マンションの場合は壁ひとつでお隣ですので、必ずルールというものがあるはずです。それが管理規約であり、細則でありということですが、それをまず読んでいただきたいと思います。それをあまりご存じない、読んだことがない方が結構いらっしゃいます。また、こちらに来られるときは、そういった資料をできるだけ持って来ていただきたいと思います。
ご相談される内容ですね、これを簡単に簡潔に、要点を絞ってお願いしたいと。派生するお話は結構あるんですが、何を聞きたいのか?何をご相談したいのか?というのを整理をしてから、来ていただきたいなと思います。
それから、よくあるのはですね、役員さん同士の意見の違い、居住者同士の意見の違いについて、お話しに来られます。こちらは相手のお話を聞いてませんで、ご相談に来られた方のお話だけを聞いて、アドバイスなりなんなりのお答えをさせていただくということです。相手のお話を聞いていないので一方通行ということになりますので、私どものお話はあくまでも参考にしていただくというふうに考えていただきたい。ここで聞いた話が、金科玉条というふうには思わないでいただきたい。相手さんのお話を聞いたら、また違うお話が出てくる可能性もございますので。そういうところをちょっと気をつけていただきたいな思います。
米沢:介護のご相談で来られる場合の介護施設・介護住宅については、やはり予算というか、お金に正直です。いい施設なのに、すごく費用が安いといったことは、残念ながらありません。
特別養護老人ホームなどの施設は別ですけれども、それ以外はハードが良かったり、スタッフの数が多かったり、食事ができたてだったりとなりますと、それなりの費用がかかるということです。こういう内容の相談は、急を要しますので、その方の状況にあわせて、私どもでご紹介しますが、皆様にお話しするとしたら、自分の老後は自分で決めていただきたいということです。
将来介護になったときのために相談に来られますが、実際に介護になったときに相談に来ることはできません。高齢者住宅・施設に動こうと思えば、自宅を売却し、荷物の整理をし、自分が入るべき住宅を見学し、そこで契約をして、引越しをして、新しい生活に慣れて、そこで暮らすという、非常に体力も気力も要る仕事なんです。ですから高齢者住宅への住み替えを考えておられるなら、ほんとに自分が決断できて自分が動ける元気な間に、動いていただきたいということです。
私は同級生が、親がちょうど80代くらいになっています。親夫婦二人だけでは生活ができない、認知症の症状も出てきている、しかし、子どもから住み替えたらどうかとも言えない、多分親だけでは住み替えもできない、そういう状況になってからでは、本人も家族も非常に苦労しますし、大変な思いをします。
ですからこれからの方でしたら、自分の老後は、自分はどこでどう住んで、どう住まうか?具体的にどこでどう死ぬかという問題になってくると思うんですが、そういうことを考えていただいて、お元気な間に自分で決めていただきたい。子どもにたくさんお金を残すことはではなく、自分のために使う、だからこそご自分のことをしっかり決めていただけたらいいなと思います。
その方の生活設計や資産等にあわせて、無理のないちゃんとした会社などを選んでいただきたいので、そういったことに関してはまた勉強していただけたらと思います。
森田:どうも貴重なアドバイスをありがとうございました。相談に当たっては、必要な資料をそろえたり、情報を整理するなどの、事前の準備をすることによって、同じ相談をするにしても、より役に立つ回答が得られるということですね。
トラブル防止のためにもできれば、早めに相談、また体力のある元気なうちに動くことが大切だというお話でした。
また、何でも専門家に解決してもらうという姿勢ではなく、専門家の助言を元に自分自身の考えをまとめる、参考にするという心がけが重要だと思います。
皆さんも今日のお話の中で、何かひとつでもヒントをつかんでいただけたかと思いますので、これからどうぞ有効に相談を活用していただきたいと思います、私も予習をして早めに米沢さんのところに相談にいきたいと思いますので、よろしくお願いします。