大阪市立住まい情報センター 平成24年度シンポジウム報告 ミニワークショップ
ミニワークショップ
「地震ITSUMO講座」
永田 宏和氏
NPO法人プラス・アーツ理事長、株式会社iop都市文化創造研究所代表。企画・プロデューサー。竹中工務店を経て地域づくりのコーディネートに携わり、ファミリーが楽しく学ぶ防災訓練「イザ!カエルキャラバン!」を国内、海外で展開。
http://www.plus-arts.net/
楽しみながら学ぶ防災教育
阪神・淡路大震災から10年経った2005年、神戸市から、防災教育のプログラムを開発してほしいと依頼されました。次世代に伝える情報をきちんと集めようと、インターネットで調査し、震災体験手記を読んだほか、被災した167人の語り部のお話を絵解きし、読む人が独自の防災対策を考えられるよう『地震イツモノート』を発行。被災状況だけでなく、人の心の動き、地震直後から避難所の様子まで描き、話題の本となって10万部以上を販売しました。
その後、さまざまな調査を元に、楽しみながら学ぶファミリー向けの新しい防災訓練プログラム「イザ!カエルキャラバン!」を企画しました。これまでに15ほどの都道府県で150回以上実施し、インドネシア、タイ、モンゴル、中米などにも広がっています。日本のオリジナルな防災教育として国内外に知られるようになってきました。
カエルキャラバンを始めた当初、被災者がたくさん出た震災のことを楽しみながら学ぶとは何事だ、と言われたのですが、楽しいと子どもは積極的になり、自分からやろうとし、何度もやりたがります。自主的に取り組め、復習できることは防災教育として大事だと考えています。
そのほか、体験手記をアニメにしたり、カードゲームやボードゲームなどの防災教育教材も開発しました。企業や地域の自主防災組織、学生、いろいろな世代へ講座を開いています。
キャンプの技が災害時に役立つ
東日本大震災以降、対処療法としての防災ではなく、日頃から火をおこせるか、ロープワークができるかなど、たくましく生き抜く力をつけることが重要ではないかと指摘されるようになりました。
最近、都市部に住んでいる子どもたちが、近所で基地づくりをしている様子をあまり見かけません。災害時に必要なことはほぼキャンプで学べると思い、防災教育にキャンプ系サバイバルプログラムを加えた「レッドベアサバイバルキャンプ」を、神戸の消防署の有志の人たちとともに始めました。
1日目に学び、2日目にチャレンジするプログラムなのですが、課題をクリアしたら“技缶(わざかん)バッジ”をもらえます。例えば火をおこすことができたら、火おこしクリアのバッジを渡すのです。子どもたちはバッジが欲しくてがんばり、楽しくサバイバルの方法を学んでいくのです。真の防災力をつけるためには、人間力を養うためのプログラム開発が大切ではないでしょうか。
永田さんと参加者の交流
身の回りのもので救命措置を
今度は、震災などで万一ケガをした時の具体的な手当ての方法を実演していきましょう。
先程、坂本先生が普段からAEDの使い方を学習しておくといいとおっしゃいましたね。突然、心肺停止をした人の命を救うには、「早く119番通報」「早く心肺蘇生」「早い除細動」「二次救命処置」の4つが連続性をもって行われることが必要です。これらは一人でするのではなく、近くにいる数人の協力を仰ぎます。その際に、「すみません、誰か119番に電話して」ではなく、「そこのあなた、電話してください」と“指名して”やってもらうのが最も早く確実です。
ケガをして血が出ている時には、直接圧迫止血法をほどこします。例えば、腕から出血している時は、まず、きれいな布を傷口にあて、強くおさえます。傷口を心臓より高くするのがコツ。感染を防ぐために、直接、傷口に触れないこと。ポリ袋を使って処置するのもいいでしょう。被災地などでは包帯も三角巾もないのが普通でしょうから、普段から大判ハンカチやポリ袋を持っておくと役立ちます。ネクタイを使って止血する時は、結び目が傷口にあたらないよう傷口の反対側で結びます。
骨折した時の添え木は、折りたたみ傘でも雑誌でも新聞でも構いません。それを大判ハンカチやネクタイなどでしばります。腕を折った時に三角巾の代わりになるのは、スーパーなどでもらうレジ袋。片側をさいて、そこに患部をいれ、首から吊るします。こんなふうに身の回りのものを創意工夫して使いましょう。
ケガの応急処置のワークショップ
伝言ダイヤルを練習して
災害時に、安否確認や連絡する方法には、災害用伝言ダイヤル(171)への電話、携帯電話などの公式メニューから「災害用伝言板」にアクセス、インターネットから災害用ブロードバンド伝言板へアクセスなどの方法が整っています。
このような災害用伝言サービスは、毎月1日と15日、1月1〜3日、防災週間(8月30〜9月5日)、防災とボランティア週間(1月15〜21日)に体験利用ができますので、あらかじめ確認しておきましょう。日頃から使い慣れていなければ、災害時にはスムーズに動けません。
応急手当や防災グッズ、連絡方法など、都市住民にとって重要な防災の知識や技、避難生活のエピソードや知恵は、「地震ITSUMO.com」(http://www.jishin-itsumo.com)のサイトで公開していますので参照してください。
家具の転倒防止についてはあんじゅ54号p5の「住まいの基礎知識」でも紹介していますのでご覧ください。
第1部はこちら >> https://www.sumai-machi-net.com/?p=2548&preview=true
続きはこちら >> https://www.sumai-machi-net.com/?p=2559&preview=true
ミニワークショップ
「地震ITSUMO講座」
永田 宏和氏
NPO法人プラス・アーツ理事長、株式会社iop都市文化創造研究所代表。企画・プロデューサー。竹中工務店を経て地域づくりのコーディネートに携わり、ファミリーが楽しく学ぶ防災訓練「イザ!カエルキャラバン!」を国内、海外で展開。
http://www.plus-arts.net/
楽しみながら学ぶ防災教育
阪神・淡路大震災から10年経った2005年、神戸市から、防災教育のプログラムを開発してほしいと依頼されました。次世代に伝える情報をきちんと集めようと、インターネットで調査し、震災体験手記を読んだほか、被災した167人の語り部のお話を絵解きし、読む人が独自の防災対策を考えられるよう『地震イツモノート』を発行。被災状況だけでなく、人の心の動き、地震直後から避難所の様子まで描き、話題の本となって10万部以上を販売しました。
その後、さまざまな調査を元に、楽しみながら学ぶファミリー向けの新しい防災訓練プログラム「イザ!カエルキャラバン!」を企画しました。これまでに15ほどの都道府県で150回以上実施し、インドネシア、タイ、モンゴル、中米などにも広がっています。日本のオリジナルな防災教育として国内外に知られるようになってきました。
カエルキャラバンを始めた当初、被災者がたくさん出た震災のことを楽しみながら学ぶとは何事だ、と言われたのですが、楽しいと子どもは積極的になり、自分からやろうとし、何度もやりたがります。自主的に取り組め、復習できることは防災教育として大事だと考えています。
そのほか、体験手記をアニメにしたり、カードゲームやボードゲームなどの防災教育教材も開発しました。企業や地域の自主防災組織、学生、いろいろな世代へ講座を開いています。
キャンプの技が災害時に役立つ
東日本大震災以降、対処療法としての防災ではなく、日頃から火をおこせるか、ロープワークができるかなど、たくましく生き抜く力をつけることが重要ではないかと指摘されるようになりました。
最近、都市部に住んでいる子どもたちが、近所で基地づくりをしている様子をあまり見かけません。災害時に必要なことはほぼキャンプで学べると思い、防災教育にキャンプ系サバイバルプログラムを加えた「レッドベアサバイバルキャンプ」を、神戸の消防署の有志の人たちとともに始めました。
1日目に学び、2日目にチャレンジするプログラムなのですが、課題をクリアしたら“技缶(わざかん)バッジ”をもらえます。例えば火をおこすことができたら、火おこしクリアのバッジを渡すのです。子どもたちはバッジが欲しくてがんばり、楽しくサバイバルの方法を学んでいくのです。真の防災力をつけるためには、人間力を養うためのプログラム開発が大切ではないでしょうか。
永田さんと参加者の交流
身の回りのもので救命措置を
今度は、震災などで万一ケガをした時の具体的な手当ての方法を実演していきましょう。
先程、坂本先生が普段からAEDの使い方を学習しておくといいとおっしゃいましたね。突然、心肺停止をした人の命を救うには、「早く119番通報」「早く心肺蘇生」「早い除細動」「二次救命処置」の4つが連続性をもって行われることが必要です。これらは一人でするのではなく、近くにいる数人の協力を仰ぎます。その際に、「すみません、誰か119番に電話して」ではなく、「そこのあなた、電話してください」と“指名して”やってもらうのが最も早く確実です。
ケガをして血が出ている時には、直接圧迫止血法をほどこします。例えば、腕から出血している時は、まず、きれいな布を傷口にあて、強くおさえます。傷口を心臓より高くするのがコツ。感染を防ぐために、直接、傷口に触れないこと。ポリ袋を使って処置するのもいいでしょう。被災地などでは包帯も三角巾もないのが普通でしょうから、普段から大判ハンカチやポリ袋を持っておくと役立ちます。ネクタイを使って止血する時は、結び目が傷口にあたらないよう傷口の反対側で結びます。
骨折した時の添え木は、折りたたみ傘でも雑誌でも新聞でも構いません。それを大判ハンカチやネクタイなどでしばります。腕を折った時に三角巾の代わりになるのは、スーパーなどでもらうレジ袋。片側をさいて、そこに患部をいれ、首から吊るします。こんなふうに身の回りのものを創意工夫して使いましょう。
ケガの応急処置のワークショップ
伝言ダイヤルを練習して
災害時に、安否確認や連絡する方法には、災害用伝言ダイヤル(171)への電話、携帯電話などの公式メニューから「災害用伝言板」にアクセス、インターネットから災害用ブロードバンド伝言板へアクセスなどの方法が整っています。
このような災害用伝言サービスは、毎月1日と15日、1月1〜3日、防災週間(8月30〜9月5日)、防災とボランティア週間(1月15〜21日)に体験利用ができますので、あらかじめ確認しておきましょう。日頃から使い慣れていなければ、災害時にはスムーズに動けません。
応急手当や防災グッズ、連絡方法など、都市住民にとって重要な防災の知識や技、避難生活のエピソードや知恵は、「地震ITSUMO.com」(http://www.jishin-itsumo.com)のサイトで公開していますので参照してください。
家具の転倒防止についてはあんじゅ54号p5の「住まいの基礎知識」でも紹介していますのでご覧ください。
第1部はこちら >> https://www.sumai-machi-net.com/?p=2548&preview=true
続きはこちら >> https://www.sumai-machi-net.com/?p=2559&preview=true