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相談員からのアドバイス「住まいの近隣問題に関する情報」

近隣トラブルは、思わぬところから突然起こることが多く、生活上の権利・義務などの法律知識を日ごろから身につけておくことが大切です。トラブルになっている事実と自分たちの権利・義務との関係はどのようになっているのかをお互いによく確認した上で解決に努めましょう。

 

「相談員からのアドバイス」は、住まいに関する相談事例をもとに一般的な参考情報をとりまとめています。(断定的な判断材料等を提供するものではありません)

 

 

 

 

 

 

1 近隣トラブルの特質を知る

近隣トラブルの特徴は、毎日のように顔を合わせる相手との関係であるだけに、一旦トラブルになると次第にエスカレートして大きくこじれてしまいます。以下のような近隣トラブルの特質を知って争いの拡大を防止しましょう。

近隣トラブルの特質

  • 紛争の根が深い。
  • 相手が自分の近くにいて、後々のつきあいもあるので相手に言い出しにくい。
  • 侵害されている権利の内容が明確ではなく、法的判断も容易ではない。

 

2 問題の整理

  • 何が問題になっているのか、相手に何を求めるのかを整理しましょう。
  • 問題や要求が整理できたら、法律や条例などを調べましょう。

土地・建物に関するもの

  • 境界に関する問題
    • 境界には公法上の境界(公権力により定められる事項であって、境界に隣接する当事者同士が決めることや、合意で変更することはできない)と私法上の境界(隣接する土地所有者同士が話合って決めることが可能)があります。
    • 筆界特定制度:法務省
  • 隣地の使用、境界付近の土地の使用の問題
  • 道路・通行についての問題
  • マンションについての問題

生活環境に関するもの

日照・眺望・通風・プライバシーなどに関する問題

振動・悪臭などについての問題

※生活騒音には法的な規制がありませんが、おたがいが暮らしている中で発生する音ですから、隣人関係をこわさない工夫が大切です。

ペットについての問題

ごみ・廃棄物についての問題

防犯についての問題

 

3 解決方法を探る

当事者間の話合い

近隣トラブルは、ケースバイケースであるため、一概にこれがよいという対処方法はありません。今後もつきあいが続くことを念頭において、バランスのとれた解決案の提示とその裏付けとなる公的な規制(法律や条例)があれば、それをふまえて当事者間でよく話合うことが必要です。

 

専門家に相談してアドバイスをもらうことも大切です。たとえば、境界問題においては、弁護士や土地家屋調査士に相談する方法があります。その場合には、以下に掲げる図面、写真、メモなどを持参して専門家に相談するとよいでしょう。

 

  • 登記所(法務局)に備え付けの地積測量図、公図
  • 占有状況のわかる写真
  • 公簿面積と実測面積の対比
  • 自然の地形がわかる写真
  • 境界標の写真
  • 塀などの設置状況の写真や設置経緯のメモなど

 

第三者機関での話合い

当事者間の話合いで解決できない場合は、裁判外紛争解決手続(ADR)や裁判所の民事調停を利用する方法もあります。

それでも解決できない場合は裁判手続きの利用を検討することになりますが、問題の解決を図ろうとする側には、事実を証明するために相当の経費負担(測量費等)が発生する場合もあります。

近隣トラブルに関する民法の規定

詳しくは、民法条文をご参照ください。

令和3年4月に成立・公布された「民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)」については、法務省ホームページをご覧ください。

 

 

参考サイト