退去時の注意点(1分で読める! 住まいの「入門」&「ミニ解説」)
このページでは、賃貸住宅を退去される方のために、注意点を1分程度で読めるように、わかりやすくアドバイスしています。専門用語等には、ミニ解説をつけています。
〈登場人物〉
※「宅地建物取引業者」は略して「宅建業者」としています。
住まいの賃貸借【退去時の注意点】
新しい家が見つかり引越しを決めたとき、いつ頃家主さんに連絡すればよいのですか。
退去日が決まると、その旨を管理会社や家主に通知しますが、その時期や方法については契約書の内容を確認しましょう。
契約書に添付の解約通知書を使用することが定められている場合は、それに従います。文書で通知するという定めがなくても、口頭だけの通知では証拠が残らずトラブルになることがありますので、文書で確実に通知しておくことが重要です。退去時の家賃の日割り計算等についても、契約書を確認しておきましょう。
退去するまでや、退去日に気をつけることはありますか。
退去日には、管理会社や家主と部屋内の状況を確認するために立会いを行います。その日までに清掃を終え、特に、台所のコンロや換気扇付近の油汚れ、浴室の水垢等の汚れを丁寧に掃除しておき、壁のクロスや床等の汚れ・傷を点検しておきましょう。退去時の状況を記録に残すために写真を撮り、日付がわかるようにしておき、契約書と共に保管しましょう。立会い時にその場で、補修工事の支払い承諾書等にサインをするよう求められることがありますが、内容を充分に確認できないままサインをするのは控えましょう。
退去するまでに、きちんと掃除をしておかないと、立会いでの印象が悪くなってしまうかもしれないですね。
普段からの掃除が大切ですね。
退去後の原状回復費用に納得ができない場合は、国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(以下「ガイドライン」)と内容を照らし合わせ、納得できない場合はその理由を管理会社や家主に伝えましょう。明細書に単価や数量表示等がなく、内容が充分に理解できない場合は、詳細を確認しましょう。
退去時に最も多く発生する原状回復に関するトラブルを防ぐために、「ガイドライン」を入居前に一読すると、どのようなことに気をつければよいのかがわかります。入居時は、「ガイドライン」に掲載の「入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト」等を利用して状況を確認、写真で記録を残し、不具合等があれば、家主や管理会社に報告する等、入居前・入居時に部屋内の状況を細かく確認することが重要です。
ミニ解説
1 立会い
通常、退去時には立会いが行われますが、何かの理由で立会いをせずに退去した後に、高額な原状回復費用の請求が届くというトラブルがあります。退去時の状況を明確にするためにも、立会いは必ず行いましょう。借主が立会いを要求したのに貸主が応じなかった場合は、その点を記録に残しておきましょう。いずれの場合も、退去する時点での日付入りの写真や記録は残しておきましょう。
2 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン
「ガイドライン」とは原状回復についてのトラブルが多いなか、国土交通省が民法や過去の裁判例及び取引等の実務を考慮のうえ、原状回復の費用負担のあり方等について、トラブル未然防止の観点から、あくまで現時点で妥当と考えられる一般的な考え方を取りまとめたものです。「ガイドライン」の使用を強制するものではなく、最終的には契約内容、物件の使用状況等により個別に判断、決定されるべきものとされています。「ガイドライン」に法的な拘束力はありませんが、国土交通省が作成したものであり、賃貸借契約における原状回復に関する一般的な考え方が記載されています。
〈原状回復とは〉
原状回復とは、賃借人(借主)の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人(借主)の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗(そんもう)・毀損(きそん)を復旧することです。
3 家賃の日割り計算
家賃は、貸主が建物の使用の対価として受領する金銭です。月の途中で退去する場合、家賃の計算方法は基本的には日割り計算です。
契約では、退去時は月割り計算にする特約をつける場合もあります。